悠さんち

メモ的な。

2024年まほやくエイプリルフール 出典

エイプリルフールイベスト「アルテレーゴの掟」最高でしたね~!シャ推し愛憎推しとして大満足すぎました。

個人的にすごく良かったのが本編オマージュのセリフ・展開の数々。

せっかくなので、私が気がついたものだけでも、「本編のここだね!」を出して行こうかなと思います。

※当然のごとく、イベストのネタばれ満載ですので、未読のかたは先にイベスト読んでね!

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検証・使い回しリーダーで上級厄災Lv20をMP1で確殺する(魔法使いの約束)

なんだこの呪文のようなタイトルは……笑

バフパの基本

まず前提知識として、上級厄災Lv20をMP消費1で倒せるパーティ、通称「バフパ」として知られているパーティの基本構成は以下の通りです。

1)パーティ構成
パーティーメンバー:
イベント覚醒キャラ……1名
ミッションスキル「味方リーダーのパラメータ上昇」を持ち、全パラメータを最大値とした覚醒キャラ……8名(パラメータ、ミッションスキルは最大値まで成長させる)

リーダー:
以下のどちらかのリーダースキルを所持し、パラメータが最大値またはそれに近い値(パラメータ、ミッションスキルは最大値まで成長させる)
①自分自身のパラメータ上昇
②メンバーのミッションスキル発動確率上昇

2)戦闘時仕様アイテム
「五つ葉のクローバー」(ミッションスキル発動率上昇)×3

これについては詳しい先行記事が色々あるので参考にして下さい。

note.com

mhyk-wizards.hatenablog.com

privatter.net

従来のバフパの課題

前項で簡単に解説したバフパについて、上で紹介した先行記事の多くでは以下の問題点が指摘されています。

①リーダーのリーダースキルが「自分自身のパラメータ上昇」の場合……
→メンバーのミッションスキルが全発動しない場合、討ち漏らしが発生する

②リーダーのスキルが「メンバーのミッションスキル発動確率上昇」の場合……
→五つ葉のクローバーと組み合わせれば全員のスキルは確実に発動するが、リーダーの強さが足りずに討ち漏らしが発生することがある

そして、この②の問題を解決する策として、「リーダーにイベント特性(イベント実装カードが持つピンク色の特性)と次点有利特性(イベント実装SSRカードが持つ金枠の特性×3種)を獲得させる」ことが推奨されています。

つまり、イベントのたびにそのイベントを攻略するためのリーダーを作ることで、討ち漏らしなく討伐できる、という作戦です。

しかしこの「必要な特性を持たせたリーダーを毎回作る」のは簡単ではありません。
特に次点有利特性を自分の手持ちで賄えない場合、安定した討伐を可能にするリーダーを覚醒させるのは、かなりハードルの高い課題になっていました。

3周年のアップデートによるパラメータ上限値変更

ところが、2022年11月のアプリリリース3周年にあたって、大幅なアップデートが実施されました。

これにより、覚醒キャラの育成におけるパラメータ上限値が、各属性999から1200になりました。

成長ポイントを使った成長ではパラメータの倍まで育てられますから、これまでの最大パラメータは各属性ALL1998、トータルで9990だったところ、現行では各属性ALL2400、トータルで12000の覚醒キャラを持てるようになっています。

一方で、上級厄災Lv20のHPは据え置きで、366663のままです。

リーダーにイベントに合わせた特性も持たせなくても(つまりイベントごとにリーダーを作り直さなくても)MP1で倒せる可能性が見えてきました。

検証・特性による加点抜きで上級厄災Lv20を倒せるか

さて、数字で検証してみましょう。

以下のようなパーティを想定します。

①リーダーは各属性のパラメータ2400、リーダースキルは「メンバーのミッションスキル発動確率上昇(Lv5)」

②パーティメンバー8体が各属性のパラメータ2400、ミッションスキルは「味方リーダーのパラメータ上昇(Lv5)」

③イベント覚醒キャラ(パラメータは未定)

1)確実に取れる得点は

リーダーのパラメータは各属性2400ですが、舞台効果でパラメータが上下します。どの属性がどう変わるかは舞台によりけりですが、「各2400」が「3840、3360、2880、2160、2040」に変化します。

これらの各属性パラメータに、メンバーのミッションスキル「パラメータ+42%」がかかります。実際の計算は、ミッション詳細画面から逆算してみたところ「1.21をかけて小数点以下を切り捨て」になるようです。

つまり、パラメータが3840になった属性では

3840*1.42の小数点以下切り捨て=5452

5452*1.42の小数点以下切り捨て=7741

7741*1.42の小数点以下切り捨て=10992……

……まあ面倒なんでエクセルくんに頼るとして、

3840→63456
3360→55529
2880→47592
2160→35700
2040→33707

63456+55529+47592+35700+33707=235984

これがこのパーティにおけるリーダーの戦闘力の最低点です。

メンバーも同様に舞台効果によってパラメータ値が変化します。ALL2400の8名は「3840、3360、2880、2160、2040」。合計で14280、8体で114240となりますね。

リーダー 235984 + 覚醒キャラ8体 114240 = 350224

上級厄災Lv20のHP 366663 -350224 = 16439

残念ながら、この時点では討伐には至りません。あと16439を工面できれば勝利です。

2)イベント覚醒キャラで稼げるか

イベント覚醒はSSRでパラメータに+5%の加算があります。さらに、ピンク金枠、ピンク銅枠を持たせて覚醒したなら、+2800。ALL2400にできていれば、舞台効果がかかったとして、(14280+2800)*1.05=17934。ヤッター、問題なく倒せます!

……とはいえ、イベント覚醒キャラはパラメータより特効倍率が優先です。特に、イベント報酬カード頼みになる場合は、獲得のたびに作り直すことになりますし、パラメータは低めにとどまるでしょう。

仮にイベント覚醒キャラのパラメータがALL500程度で成長もさせないとした場合、ピンク金枠が取れていて舞台効果とパラメータUP効果を加算したとしても5000程度でしょうか。

この場合、あと12000程度、足りませんね……。

3)残りの上乗せは?

とはいえ、悲観する必要はありません。厄災討伐ミッションの詳細を見ればわかりますが、イベント特性や金枠特性以外にもパラメータアップ効果のある特性はさまざまです。パーティの作り方にもよりますが、まったく一切ヒットしない、という例はわずかでしょう。

たとえばリーダーが銀枠・銅枠・枠なしあわせて+750の加算を得られれば、+42%×8人ぶんで12389の加算がつきます。

また、イベント覚醒キャラのミッションスキルでパラメータがアップする可能性もあります。

4)どうしても倒せないなら……

イベント覚醒キャラのパラメータやスキルを成長させてみたり、手持ちのALL2400リーダー・メンバーの中で有利な特性を持った覚醒キャラをパーティに入れてみる。

そこまでしてもどうしても届かないようであれば、その時だけ「今回のイベント特性を持たせたALL2400リーダー」を作れば良いのです。

イベントのたびに作るよりはかなり負荷が軽減されるはずです。

また、イベントの合間の暇な時期に、なるべく色んな特性を持たせたリーダー向き・メンバー向きALL1200覚醒を作りためておくのもおすすめです。
イベントカードを入れる縛りがないぶん、比較的作りやすいはずです。

実例

たとえばこんな感じ。HP366663に対して戦闘力367328。665しか上回ってません。効率が良いね……。

リーダーは3周年ヒースです。

ご覧の通りスコアは低くないけど、今回のイベントでの加算は銅枠の+300と無枠の+450のみ。

メンバーはこんな。特性加算なしか、良くて銅枠。(スクショして気づいたけどこのカインALL2400にすらなってないな……)

イベント覚醒。ピンク金枠取れてない。

【来たるべき著作権の未来はユートピアか?】京都女子大学法学部公開講座記録の紹介

二次創作をやってると、著作権というものを意識せざるを得ないと思います。

二次創作と著作権を考える際に非常に参考になる講義録がありまして、折にふれて紹介しているんですが、PDFしか公開されていないからか、内容が長いからか、あまり反応がない。ので、記事に起こしておこうかなと。

私が読んで印象的だった箇所を一部引用して紹介していますが、恣意的な引用であることが否定できませんので、ぜひPDFの全文を読んでいただければと思います。

 講座の概要

京都女子大学 2016年10月~12月 公開講座
法学部【来たるべき著作権の未来はユートピアか?】

講題  エンブレムに向けられたネットユーザーの厳しい目—オリジナル?パクリ?
講師  慶應義塾大学大学院法務研究科教授 奥邨 弘司
講題  「二次創作」文化を巡るあれこれ—二次創作と著作権の曖昧な関係
講師  森・濱田松本法律事務所弁護士 池村 聡
講題  AIは著作者になれるのか—テクノロジーの可能性と限界(?)
講師  文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 壹貫田 剛史

 エンブレムに向けられたネットユーザーの厳しい目—オリジナル?パクリ?

Kyoto Women's University Academic Information Repository: エンブレムに向けられたネットユーザーの「厳しい」目 : オリジナル、それともパクリ (来たるべき著作権の未来はユートピアか?: 京都女子大学法学部公開講座 : 2016 年度後期)
※リンク先のページの中央下部、「見る/開く」からpdfファイルを読むことができます

ひとつめの講座は慶応大学法科大学院の奥邨弘司先生によるもの。盗作騒動で取り下げとなった東京五輪のエンブレムや、松本零士の漫画と槇原敬之の歌の歌詞に関わる訴訟など実際の事例を取り上げながら、著作権法はなにを保護しており、どのような観点で権利侵害かどうかを判断するか、といったことを解説しています。
著作権法は表現を保護し、アイディアは保護しないこと、偶然の類似は侵害と見なさないこと、実際の裁判ではどの程度の類似が侵害と判断されるのか、などが具体的に解説されています。

最後に一言申し上げると、著作権侵害でなければ、クリエイターの倫理として、他人の作品を模倣して良いと申し上げているつもりはありません。それは、クリエイターの世界における議論です。今日はあくまでも、著作権法の世界からの分析です。

 締めくくりのこの言葉も意識しておくべきものと思います。

「二次創作」文化を巡るアレコレ : 二次創作と著作権の曖昧な関係

Kyoto Women's University Academic Information Repository: 「二次創作」文化を巡るアレコレ : 二次創作と著作権の曖昧な関係 (来たるべき著作権の未来はユートピアか?: 京都女子大学法学部公開講座 : 2016 年度後期)

 ※リンク先のページの中央下部、「見る/開く」からpdfファイルを読むことができます

ふたつ目の講座は、知財法関連やベンチャー・IT、個人情報その他を専門とする弁護士であり、文化庁著作権課に出向して著作権法改正に関わる仕事もされていた池村聡先生によるもの。

講座では、いわゆる「二次創作」として、ニコニコ動画の「歌ってみた」「踊ってみた」やMAD動画、ネットにアップされるパロディ画像、同人誌などを取り上げ、著作権法の観点からは二次創作はどのようにとらえられるのか、といった内容が話されています。

 まず指摘しなければならないことは、「二次創作」あるいは「二次創作作品」といった用語は著作権法上の用語ではないということです。つまり、著作権法という法律の条文には、「二次創作」や「二次創作作品」という言葉は一つも出てきません。

(中略)

 例えば既存の漫画におけるキャラクター等の設定だけを利用して小説を創作することも「二次創作」と呼ばれ、完成した小説は「二次創作作品」にカテゴライズされますが、設定自体には通常は著作権法の保護が及びませんので、著作権法上の「翻案」には該当しない行為であって、小説は「二次的著作物」には当たりません。

 このように、既存作品のアイディアやコンセプトを利用しているに過ぎない場合のように、著作権法上は既存作品の著作権者から許諾を得る必要がない態様も含めた概念として「二次創作」という言葉が使われているという点を押さえて下さい。

 こうして考えていくと、結局のところ、「二次創作」とは、「既存の著作物をなんらかの形で利用し、別の作品をつくりあげること」といった程度の、極めて広く曖昧な概念であるという結論になるものと考えられます。

二次創作は著作権法における「二次的著作物」とは異なるものであり、世に「二次創作」と呼ばれるものがすべて著作権を侵害しているとは言いがたいという解説。特に「既存の作品の設定を使った小説は『翻案』にはあたらない」というのはあまり知られていないように思います。(小説に限定されているのは、漫画は「絵」という「表現」が原作に依拠しているから)

 

  著作権は「私権」つまりは私人の権利ですので、権利を持っている本人が別に構わないと考えれば、著作権侵害とは評価されません。そういう意味で、現状、本来著作権者からの許諾が必要な「二次創作」は、当の著作権者自身が「まあいいか」ということで放置、黙認していることにより著作権侵害とは評価されないというケースが殆どであるといってよいと思います。

 黙認や放置のパターンにも色々あり、「元作品への愛情があるパロディ」だから黙認、放置するというケースや、パロディ作品がきっかけで元作品が注目を集める可能性があるという理由で黙認、放置するケースもあります。勿論、よくわからないけど面倒だから放置する、というケースも少なくないでしょう。そもそも自分の作品がパロディ化されていることに著作権者が気付いていないケースも沢山あると思います。

 いずれにせよ、問題視して削除請求や損害賠償請求するか、あるいはそのまま放置するかは著作権者自身が決めることで、現状は黙認放置されているケースがほとんどで、少なくとも日本では、それで大きなトラブルもなくうまく回っているという状況にあります。つまり、権利者が、もはや放置できない、許さんと判断する場合もないわけではないですが、そうした例は実際上多くはなく、少なくとも権利者が「二次創作」を問題視し、紛争が多発しているといった実態には全くないといってよいと思います。このように、二次創作文化は、黙認や放置といった微妙で絶妙なバランスの上で成り立っていて、それがクールジャパンの一翼を担うまでになっているのです。

権利者が問題視しない限りは著作権侵害の評価はなされない、という話。これも重要ですよね。
権利者でない第三者が他人の行為を「それは著作権侵害ですよ」というのは厳密に言うと間違っている、ということになるでしょう。

講座の後半では、音楽の著作権JASRAC、パロディやフェア・ユースについての現状なども説明されています。また、TPP協定を結ぶにあたって議論された著作権の非親告化についての話も。

AIは著作者になれるのか : テクノロジーの可能性と限界(?)

Kyoto Women's University Academic Information Repository: AIは著作者になれるのか : テクノロジーの可能性と限界(?) (来たるべき著作権の未来はユートピアか?: 京都女子大学法学部公開講座 : 2016 年度後期)
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3つめは内閣官房教育再生実行会議担当室参事官補佐の壹貫田剛史先生による講座。「AIは著作者になれるのか」という切り口で、「創作」とは何か、「著作物」とは何か、という話がされています。法律において著作物とは作者の思想・感情を反映された表現であり、思想や感情を持たないAIによる創作物は著作物としては保護されない、しかしAIの創作物にはすでに人を感動させる力が充分にある。この先、AIの創作物、AIを利用した創作をどのように考えていけば良いか――といった内容で、SFに興味がある人には特に面白い話だと思います。

パネルディスカッション

Kyoto Women's University Academic Information Repository: パネルディスカッション (来たるべき著作権の未来はユートピアか?: 京都女子大学法学部公開講座 : 2016 年度後期)
※リンク先のページの中央下部、「見る/開く」からpdfファイルを読むことができます

最後のパネルディスカッションでは、聴講生も参加し、著作権侵害を訴えた実際の民事裁判を例に挙げて、それぞれの事例が著作権侵害と判断できるかどうかを考えていきます。一般的には「パクリ」扱いされるような事例でも、著作権の考え方からは侵害と言えない事例も多くあるのがわかります。
中には、実際の裁判では侵害と判断されたものの、その判断は厳しいのではないかと池村弁護士が見解を述べている事例もあり、著作権侵害の有無の判断が非常に難しいものであるのがわかります。

最後のまとめから印象的な箇所を抜粋。

 個人的には、法律と世間のギャップと言うか、必ずしも「著作権法」が正しく理解されていなくて、その結果、本当は著作権侵害ではないものまで「パクリ」だと、すなわちあたかも著作権侵害だというかたちで炎上をしたりとか、そういったよろしくない傾向にあるのではないかと思っています。(池村先生)

 

皆さん、判断される際は、いろいろな議論があり得るということはご理解下さい。自分はアイデアだと思うということだけで突っ走ると、それは危ないですし、一方で、自分は表現だと思うということだけで、人を強く責めるということはやめた方がいいと思います。
 もう一つだけ申し上げると、表現というのは積み重ねの中で出来上がっていくものですから、私たちも、過去の人たちの表現を勉強しながらというところもあるわけです。どこまで先人を尊び、また新しいことを許すかというバランスの議論でもあるんだろうなと思いながら、今日は、お話をさせていただいた次第です。(奥邨先生)

そして最後に非常に面白いやりとりがあるので、こちらもご紹介。

<壹貫田>もう一つ、池村先生へのご質問です。漫画の件ですけれども、漫画の BL 化が、BL 化というのは。

<池村>ボーイズラブ化。

<壹貫田> なるほど。そのボーイズラブ化が、権利者の許可を必要とするのは、その漫画のアイデア、設定を利用するだけではなく、設定を変えているからですかというご質問ですが、いかがでしょうか。

<池村>設定等を変えているという部分は、今日はほとんどお話しができませんでしたけれども、著作者人格権、具体的には同一性保持権という権利に抵触する可能性もあるとは思います。ただ、BL化の一番の問題は表現、つまりはキャラクターの絵をそのまま似せて描いて、同性愛化しているから著作権者の許諾が必要なのではないかということで、例えばキャラクターの名前や人物設定は一緒だけども、絵は全く違うということになれば、許諾は不要という整理になると思います。

ここでいう「絵は全く違う」というのが、どのくらい違えばいいのかは専門家ではないのでよくわかりませんが、(ポパイネクタイ事件などが参考になりそうです)たいへん興味深いですね。

同人原稿チェックサービス「オタペンせんせい」

「オタペンせんせい」モニター参加しました

otapensensei.info

先日サービス開始された同人作家のための校正・校閲サービス「オタペンせんせい」。スタートにあたりモニターを募集していらしたので、過去作にて参加させていただきました!

提出したのはpixiv掲載の「永遠の日」という3,000字強の短編。②の「校正・校閲」にてお願いしました。料金は文字数×0.3円とのことで、正規に依頼すると1,000円くらいになりそうです。

依頼は基本メールのやりとりで、レスポンスは大変迅速。プレーンテキストで原稿をお送りし、校正・校閲結果をPDFで送っていただきました。

 赤字:校正部分(誤字脱字・誤用など、マストで修正が必要な部分)

 青字:校閲部分(文体、言葉など「こうした方がいいのでは?」という部分)

 

※原稿データへの反映はご依頼主自身にてお願いいたします。

※校正・校閲内容はあくまで「ご提案」です。

 実際に反映、修正するかはご依頼主自身の判断でお願いいたします。

 とのこと。

 実際にいただいたのがこちらです。

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校正してみた

さて、引用しました通り、いただいたのはあくまで「提案」。これを元にどうリライトするか、考えてみました。

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1.「要望」→「希望」
なるほど!希望のほうがしっくりくる。修正。

2.読点挿入
読みやすくなりますね。修正。

3.「雲一つない~」→「レース当日は~」
「~のレース」という言い方がしたいなぁという気持ちもあり、ちょっと悩んだけど、この段落の終わりの「~レースになった」というのとかぶるので、修正。
ついでに表記を「雲ひとつ」に統一。

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4.「いま」→「今」
「今」を開くのは私の趣味なので、ここはママで。

5.読点挿入
ここもあったほうが読みやすい。修正。

6.「現地」トル
確かに、メイン会場と書いた時点で不要。修正。

7.「しないのだった」→「しなかった」
いただいた修正のほうがなめらかなんだけど、私の文章の味かなというのと、このほうが否定が強く感じられるかなと思ったので、ママで。

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8.「インタビューア」→「インタビュアー」
間違って覚えてますね~。修正。

9.「ひとこと」→「一言」「こぶし」→「拳」
同じく、趣味なので開く。ママで。「拳」はルビなしだと「けん」読みがあるのも気になるので、開いて書きがち。

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10.三点リーダの挿入

すぱっと置きたかったので、ママで。

11.「けっこう」→「結構」
ここは開きすぎかな、と思ったので、修正。

12.「オレの前から」トル
読み返してテンポ悪いなと思ってたとこなので、トル。ちょっと考えて「左右によけて」にしてみました。道が割れる感じを出したかった。

13.「ひと」→「人」
「人」については、表記揺れさせてでも一部のみ開く書き方をよくするんですが、読み直して今回は全部漢字でいいかな~と思い直したので、修正。

14.「なんともすごい」→「なんとも言えない」
修正するとニュアンスが変わるので、ママで。

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15.「てのひらを向けた」→「制止した」
くるりと回って」トル
一連の手の動き(手を立てる制止の仕草から、手の平を上に差し伸べる手への変化)を描写したかった箇所ではあるのだけど、全体バランスを考えるとそこを書き込むこともないかなと思い直し、読みやすさを優先して修正。

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16.「おつかれさま」→「お疲れさま」
ここも開きすぎかな、と修正。

17.「現役のとき」→「現役の時」
「~のとき」と書く場合は開く、という癖がついているのだけど、改めて辞書など確認すると、開くのは「~の場合」と言い換えられるとき、とのこと。ここでは「現役時代」の意なので、漢字でいいんですね。修正。

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18.「引き寄せられた。」→「引き寄せると、」
真波くんの受け身で書きたかったのと、次の文とは区切りたいので、ママ。

19.「完爾と笑う」→「莞爾として笑う」
誤字は修正。ここはメールで質問してみたところ、「莞爾と笑う」の用例も多いが、省略された形であり、なるべく「として」を推奨、とのこと。直しました。

20.「過去には帰れない」→「返or戻」
これはね~うっかりです!原作のセリフは「だが永遠の時などない 時は全て一瞬 ならばその一瞬を忘れないように心に刻もう!!」(12巻)「時は一瞬で過去に返らない」(30巻)なんですよね……ということで、「永遠に続く時などない。時は全て一瞬で、過去には返らない」としました。

21.読点追加
ちょっと悩んだけど、ママで。東堂尽八のセリフはなんとなく読点少なめにしたい……。

22.「なにも悔いなど」→「悔いなどなにも」

悩みましたが、修正。

23.「で、だから彼の~」→「、小さく震えて」
周囲にはわからない「震え」が、密着している真波にだけは伝わった(内心を隠して快活に振る舞いながらも、その内心が真波に伝わることを拒まなかった東堂)、と言いたいところなので、ママで。

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24.「ひと」→「人」
13と同じくで、修正。

25.「振りまいたまま」→「振りまきながら」
こちらの方がきれいなんだけど、ここも「外面」と「真波にだけ見せる感情」の対比で書きたいところなので、ママで。

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26.「憧れぬいた」→「憧れ続けた」
「抜く」の、「最後まで…する。…しとげる」の意味を使いたい箇所なので、修正せず。「憧れ抜いた」と漢字にしました。

27.「オレの」トル
直前と重複してるんだけど、ここはわざと反復したかったので、ママで。

28,「いま」→「今」
4と同じ。ママで。

29.読点挿入
読みにくい書き方なんだけど、あえてこのテンポで読んで貰いたいので、ママで。

 

以上で校正完了!いや~、勉強になりました。これからもたまにお願いしてみたいなぁ。

pixivには校正結果を反映したので、よかったらどうぞ~

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縦書きテスト

 シーズン最後のJカップが、東堂さんの引退レースになった。プロとしてのキャリアのほとんどを海外のチームで過ごした人だけど、最後はやはり日本のファンの前でと、本人が強く要望したらしい。チームも乗り気で、今年の来日選手のラインナップときたら見たこともないような豪華な顔ぶれだった。  雲一つない快晴のレースだった。沿道を埋め尽くした来場者数はこれまでの記録を大きく更新し、取材に来たメディアも例年にない多さだったらしい。ロードレース人気がずっと低かった時代からおよそ四半世紀の年月を、その実力とキャラクターで自転車界の顔であり続けた、現役最年長となって久しい選手の引退にふさわしい、賑やかで楽しいレースになった。  最初の山岳賞はご祝儀のように贈られたが、最後のそれはわずかな隙を狙ってかすめ取った勝利だった。静かに忍び寄り、音もなく襲いかかる――全盛期を遙かに過ぎても、ここぞという場面でのテクニックは一流だ。海の向こうのメディアではニンジャの文字がまた紙面を飾るのだろう。本人は最後まで嫌がっていたが、そのライディングスタイルにいかにも東洋人らしいルックスも相まって、ニンジャの二つ名は最初に勝利を挙げた日からずっと彼とともにある。本人が昔から主張する"スリーピング・ビューティ"はもっぱら自称で、あとはやっぱりキング・オブ・マウンテン――『山神』。あまりにも彼に似合いすぎたのだろう、最速の座を譲ったいまも、その名が示す選手は彼ひとりだ。  最後の最後で追い抜かれた選手が手を叩いて爆笑するような勝利もそうはない。沿道で、大型ビジョンの周辺で、あるいは画面の向こう側で、たくさんの人が笑って泣いて祝福する、そんなレースになった。優勝は大本命とされたエースが手堅くもぎとって華を添え、東堂さんはチームメイトのずっと後方で、降り注ぐ歓声を抱くように両手を広げたまま、ゆっくりとゴールに飛び込んだ。ご丁寧にもアイウェアを外し、花形役者のように笑ったその顔は、その日から翌日にかけてたくさんのメディアを大きく飾った。  その一部始終を見届けた場所がメイン会場の現地解説席だったのはオレの小さな不満だが、じゃあその場所を誰かに譲れたかというと譲れやしないのだった。巻島さんに立候補されたら太刀打ちはできないが、彼の解説は素人向きとは言えないので、今回は声がかからなかったらしい。  レースの最中は、思い出せる限りの彼の話をした。実況アナウンサーが笑い声を上げるようなことをたくさん言い、大丈夫ですかと焦らせるようなことも少し言った。会場のどこかに放りっぱなしのスマホには荒北さんや黒田さんあたりからお小言がいくつか来ているだろうけど、東堂さん本人はきっと、腹を抱えて笑うだけだろう。  表彰式が終わり、セレモニーが始まった。ステージに立つ東堂さんを大型ビジョンが大きく映し出す。このまま全国へも生中継だそうだ。マイクを持ったインタビューアが型どおりの質問をいくつかして、そのあとオレのいる実況席が呼ばれた。アナウンサーとのやり取りのあと、オレからもレースについていくつか問うて、答えを得る。最後の山岳についてオレなりの観点で訊くとニヤリと満足げな笑みを浮かべたので、及第点をもらえたらしい。 『――では真波さん、引退レースを走り終えた東堂選手に、最後にひとことお願いします!』 「はい、……えーと、――」  続けようとした喉が震えて、言葉がつかえた。咳払いをひとつ、ふたつして、オレはこぶしをぎゅっと握りしめる。  ダメだ。 「あの、……ちょっとそこで待ってて!」 『は!? ――真波さん!?』  けっこうな高さに作られたステージから足場伝いに跳び降りる。どよめき、悲鳴と制止の声と、あと歓声。全部無視して、ジンジン痛む足を叱咤し駆けだした。たくさんの人々が驚いた顔をしたまま、オレの前からよけて道を作ってくれた。ペダルを回すんじゃなく、二本の足で地面を蹴って走ることを、これだけ必死でしたのは初めてかもしれなかった。  数十メートル先の壇上、呆然とオレの暴挙を眺めていたひとのもとによじ登る。膝に手をついて必死で呼吸をし、どうにか顔を上げると、東堂さんは怒りと驚きと呆れと心配と笑いの入り交じった、なんともすごい表情をしていた。 「――とう、どうっ、さんっ」  整わない息のまま、呼びかける。次の言葉を押しだそうとしたところで、東堂さんはふっと笑うと、待て、の仕草でオレに手のひらを向けた。 「情熱的だな、真波山岳! わかったから、まず立て。慌てなくていい、ちゃんと聞かせてくれ」 「…………は、い」  くるりと回って差し伸べられた手にすがって身を起こす。深呼吸をひとつして、真正面から向き合った。東堂さんは片手を腰に当て、少し首を傾げて、オレの言葉を静かに待っていた。ステージの下から、がんばれー、なんて応援の声がいくつかオレに向かって飛んできて、ちょっと恥ずかしい。 「東堂さん」 「うん」  左の膝が、ずきん、と痛んで、それをオレは噛み殺す。本当は、今日のレースをこの人と走っていたかったなんて、――叶うなら最後の最後にその背を押したかったなんて。そうでなければ永遠に道の上を走り続けてほしかっただなんて、神様にだって願えやしない。  永遠の時などなく、オレは自転車をすでに降り、今度はこの人の番なのだ。  腰を折り、あらためて深く頭を下げた。最敬礼というものをオレに最初に教えこんだのも、たぶんこの人だった。身体を起こしながら、もう一度目を合わせる。オレを見下ろして目を細める仕草が、どこか懐かしい。  たくさんの言葉が胸を駆け巡り、けれど唇から出てきたのは結局、平凡極まりないフレーズだった。 「――おつかれさまでした、東堂さん」 「ああ、ありがとう」 「現役のとき、……あなたの背中が、ずっとオレの目標でした。結局追いつけたのか、追いつけなかったのか、わからないけど――」  実のところ、出した結果の話だけするなら、オレのほうが少し上だ。東堂さんは結局、マイヨ・ジョーヌを着ることはなかった。  だがそれが、この人の背中を思わない理由になどならない。 「ずっとオレの、――オレたちの前を走っていてくれて、ありがとうございました」  もう一度、深く頭を下げる。大きな歓声と、割れんばかりの拍手が上がった。東堂さんの名を呼ぶたくさんの声。悲鳴、すすり泣き。オレが最後に言ったのと同じ感謝の言葉が、会場のあちこちからいくつも届く。 「――ありがとう、真波」 ぐっと肩を引き寄せられた。オレごと観衆に身体を向けて、東堂さんは完爾と笑う。 「ありがとう、皆さん!」  よく通る声が、感謝を叫び返す。空いた片手が、見慣れた形を作った。人差し指を突きつける不遜なポーズに、歓声が轟く。 「永遠に続く時などない。時はすべて一瞬、過去には帰れない。だからこそ一瞬一瞬が代えがたく尊いのだと――そう、心に刻んで生きてきました。なにも悔いなどありません。素晴らしい選手生活、――素晴らしい人生だった!」  東堂さんはオレの肩を抱き寄せたままで、だから彼の身体の震えがわかった。  泣いている。  きっと、時よ止まれと泣いていた。いやだと、去りたくないと、もっと走っていたいのだと、月に手を伸ばすこどものように。  こんなにも晴れやかな、すがすがしい笑顔で、永遠が欲しいとこの人は泣くのだ。 「今日のこのレースを、この青く晴れた空を、秋の終わりの澄んだ空気を、ここにいる皆さんの顔を、かけてくださった言葉を! オレは生涯忘れないでしょう。ここに立つことができてよかった。  ありがとう! さらば、愛しいひとたち!」  東堂さんが大きく手を振る。眼下の誰もが彼の名を呼び、手を叩き、笑って泣いて、すさまじい騒ぎだった。彼に降り注ぐ熱量を隣で浴びているだけでくらくらする。 「真波」  満面の笑みを振りまいたまま、オレの耳にだけ届く声で東堂さんが囁いた。 「感謝する。おまえがいて良かった」 「……はい」  憧れぬいた背中に、オレはそっと触れる。  オレの脚はもう山を登れず、オレの背にはもう翼は生えない。それでもいまここで、彼の隣で、この脚がこの身体が、少しでも彼の支えになれているのなら、それはなんて幸せなことだろう。 「オレもです」  彼の名を呼び続ける人々に笑いかけ、東堂さんは壇上から降りた。オレもその背を追いかける。  きっとオレも、生涯忘れることはないだろう。あの熱を、あの震えを、彼の言葉を、  オレの前をゆく、この美しい背中を。

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「さようなら、おじさま」


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「緋のエチュード